English Page>>

トップページ > アートマーケット座談会


テキスト:清水伸夫  写真:堀清香

インディーズシーンを代表する個性的なアーティストが結集する「ぐるぐる回る」。そこで繰り広げられる熱いライブこそ、まさにフェスの醍醐味である。
だがそれだけではなく、「ぐるぐる回る」は、1周800メートルという長さをほこる埼玉スタジアムのコンコース部分にアートマーケットがずらりと並び、まるでストリートのようにもなる。音楽とアートマーケットこそが、「ぐるぐる回る」の2つの柱となるものなのだ。
でも、アートマーケットって言っても、ピンとこない人は多いのではないだろうか? 何ができるの? 何が楽しいの? かくいう筆者もそのひとり。
「ぐるぐる回る」初心者を代表して、そのあたりの疑問をぶつけてきた。参加してくれたのは、昨年もアートマーケットに参加した田中絵里子さん、同じく昨年「ぐるぐる回る」を体験し自らもアート活動を行うキタサコクミコさん、そして「ぐるぐる回る」のスタッフから代表である川瀬拓さん、アートマーケット担当の堀清香さんの4名。インタビューというよりも、座談会形式の賑やかな雰囲気のなか話は進んだ。


――「フェス=音楽を聴きに来る」みたいなところがあって。そこは全然間違っていないんですけど、「ぐるぐる回る」にせっかくアートマーケットがあって、そこが埋もれちゃうのは、すごくもったいないなと思って…。とはいえ、アートマーケットって何をやっているのか、いまいちわかんねーなみたいな(笑)。
なので、その辺りを新しく来るお客さんとか、これから出店したいと思っている人とかに、上手く伝えられるといいなと思っています。よろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

――では、単刀直入に、アートマーケットとは一体どういうものなんでしょうか?

田中:うーん、文化祭ですよね。芸祭。お祭り。何でもありだろうっていう…。

――具体的には、どんなものがあるんですか?

キタサコ:自分で作った雑貨を展示して販売したりとか。
田中:ブローチだったり、洋服だったり、帽子とか。あと、油絵とか、ハンコとか…。
川瀬:あとロウソクとかもあったよね。
田中:あ、あった、あった。

――へー。

川瀬:基本的には、リメイクとか、そうゆうことですよね。
キタサコ:つまり自分で手を加えたオリジナルなものならOKということですね。

――あとは、パフォーマンスみたいなものもあるんですよね?

田中:そうですね。いわゆるメディアアート作品といわれるものだったり、パフォーマンスとコラボレーションしたものもある。
場所としては、本当にこれだけ制限のないところってめずらしい。生け花とかもおもしろいよね。

――本当に何でもアリっていう…(笑)。

田中:そうそう!
:募集してきた人のなかに整体師さんがいたんですよー。フェスで疲れた人をマッサージするとか。
田中:おもしろーい!
:アートなのか?って思ったりはしたけど、おもしろそうだしやってもらおうかなと(笑)。
川瀬:あ、そうそう。美容師とかもいいですよね。友達に声をかけているんですけどね。モヒカン1000円とか(笑)。

――おもしろいですね。おまかせでアートな髪形にしてくださいとか(笑)。

一同:それはおもしろい(笑)。
川瀬:ま、ようは何でもありなんですよ。本当に(笑)。

――昨年はどれくらいの人たちが参加したんですか?

川瀬:だいたいですが、40~50組くらいじゃないですか。
田中:でも、1組につき5人くらいのところもあったので、人数自体はけっこういたと思いますよ。

――「ぐるぐる回る」におけるアートマーケットの歴史は?

川瀬:前身の「廃校フェス」の企画時に、廃校を貸し切って絵を展示しているアーティストの人がいたらしくて。そこからヒントを得て、「廃校フェス」の開催に踏み切ったという経緯があり。そこで音楽もやるけど、アートも展示してあったらおもしろいよねという。
そこからアートマーケットができたんです。「廃校フェス」が終わって、「ぐるぐる回る」になって、コンコースを使ってより大きくできるようになりました。
やっぱり、大人の文化祭っていうテーマは廃校フェスからぐるぐるまで、テーマとしてはあったと思います。

――なるほど。じゃあお客さんが来て、いろいろなアート作品に触れて買えるという。珍しい場所ですね。ちなみに去年とか、特に人気のあったブースとかは?

田中:うーん、ライブの合間に、ちょっと新しいブローチを買って付けたりとかして、次のライブに向かうとか。そういう部分では女の子が盛り上がっていましたね。
オシャレに興味があるような。汗かいたしTシャツも新しいの着ようかなとか(笑)。
:私は今でも「廃校フェス」のときに買ったシールをケータイにつけていますよ、ほら。もう4年前くらいに買ったんですけどずーっと付けています。

――へー。普通のフェスはTシャツとかアーティストグッズとかは売っていますけど、そういうのではないアートグッズとか、オシャレアイテムとかが買えるのは嬉しいですね。
見ていると欲しくなりますしね。

川瀬:あとエピソードといえば、昨年に引き続き今年も出演してくれるアイドルグループ、BiSがTシャツを買い占めてくれたという(笑)。
でも、そのTシャツを売っていた人たちが誰だかわからなくて…。なので今年もぜひ出店してもらいたいので、これを見ていたら連絡ください(笑)。またBiSが買ってくれるかも!

――ちょっと難しい話になるかもしれませんけど、「ぐるぐる回る」にアートマーケットがある意義みたいなものって、どういうふうに考えていますか?

田中:音楽をやる人も、絵画をやる人も、Tシャツを作る人も…表現者としては共通していると思っていて。ステージのサイズは違うけれど、発しているエネルギーとかメッセージみたいなものって全員すごいものがあるというか。一緒ですね。そういうのをお客さんにも感じてもらえると嬉しいですね!
川瀬:けっこう若い人が多いですもんね。学生さんとか。パワーはすごいですね。
キタサコ:あとは、お客さんが文字通りぐるぐる回っているんで、普通のフェスみたいにアレ見てコレ見てっていうのとは違くて。
なんていうか、「ながら見」ができるというか。ぐるぐるぐるぐる回りながら、偶然の出会いもたくさんあると思いますし。
そこはアートマーケットがあるフェスのいいところじゃないですかね。

――あー。移動ついでにっていうのはいいですね。僕もフェスとか行くと、移動のついでに目に留まったアーティストにハマってしまって、見たかったアーティストを逃すとかありますからね。でもそれがフェスの醍醐味かもしれない。

:あー、特に「ぐるぐる回る」だとそれが顕著かもしれませんね。音に引っ張られ、アートに引っ張られ…っていう(笑)。
川瀬:1周800メートルあるんですけど、そういう意味ではすごく短く感じると思いますよ。まぁ、そのぶんスタッフは大変なんですけどね(笑)。
そういえば、前主催者の竹内さんがよく言っていたのは「端もなく隅もない」ということ。つまりどこかが中心じゃなくて、どこも中心であってメインであるという。
行き止まりがないですからね。

――これからアートマーケットを続けていくにあたって、将来像や野望みたいなものはありますか?

川瀬:もっと「ぐるぐる回る」からアーティストを排出していきたいですね。いい形でフックアップやフォローを継続してできるといいかなぁ。
あとは、フェスのロゴやTシャツのデザインなども頼んでいきたいですね。あとは、もっとカオスなかんじでもいいかなと思ったり。
初年度は出店が無料だったのでいろんな人がいたんですよ。おじさんが尺八吹いてたり(笑)。でも、これもアートの形なんだなと思いましたし、そういうなんでもアリ感に憧れますね。無秩序なんだけど決まりもあるというか。表現ってそういうものだったりしますし。そのへん、続けていって、お客さんも出演者もスタッフも感覚を共有できて、自然とそういうふうになればおもしろいですね。
田中:あー、あとは、アーティストだけじゃなくて、お客さんも巻き込んで何かやりたいですね!
キタサコ:お子さん連れとかも多いですよね。子どもが音を鳴らしていたり、絵を描いていたり。
川瀬:そうですね!埼スタ自体、授乳室もあるし、トイレも豊富だし、元々スタジアムなのでインフラはしっかりしています。
駐車場も無料だしね。だからもっと家族連れに来てもらいたいな。子どものフェスデビューにもピッタリです!

――ちなみに、今年のオススメとかありますか? 

:現在のところまだまだ募集中なのでなんとも言えない部分ではあるんですが…。
川瀬:整体師じゃない?(笑)
一同:(笑)

――でも、それこそアートな揉み方とかあるかもしれないですしね(笑)。

川瀬:斬新な揉み方とかね(笑)。
田中:理想は、アートマーケット参加者同士でコラボとかできるといいなと思いますね。
単体じゃ生み出せない表現とかが出てきたらおもしろいのかなと。そうやって繋がっていくといいですね!

――これから出店してみたいと思っている人にアドバイスをお願いします。

田中:本当になんでもありなんで、いわゆるメディアアートといわれるような規格外なものが出店しているのもおもしろいなと思うので、そういう人にも参加してほしいですね。それくらい規格はないんですよ(笑)。物を作って売ったりもできるし。
キタサコ:普段だと来ないお客さんに見てもらえるのでアーティストとしては貴重な場になると思います。
音楽好き、アート好き、暇つぶし…いろんな人がいるので、予想外の出会いもあると思いますよ。

――最後にアートマーケット出店に際して注意事項などあれば。

:壁ですね…。埼玉スタジアムの決まりで、壁に物をはれないので、板などをもってきてはるしかなく。
田中:去年とかは、板を持ってきている人もいたし、あとは床に作品を広げたりとかですね。ライブペインティングをしたい人もいたんだけど、板を持参していましたね。
:まぁ、壁や床を傷つけないようにすれば、何をしてもいいんですけどね。あとは、ステージの関係上、音を出せないんですよね。
そこは残念。で、いちばん注意してもらいたいのは暗さですね。明かりの問題。コンコース部分なので、場所によってはとても暗いです。
もちろん明るい場所もあるんです。その辺は先着順になってしまいますね。

――どれくらい暗いんですか?

川瀬:いい感じに薄暗いですね(笑)。
田中:映像とかを普通に流せるくらいの暗さではありますね。逆に暗さをいかす人にとってはメリットですけどね。
ただ電源は豊富にあるので自分でライトアップすることは可能ですね。一回、見学に来てもらうのがいいと思いますよ。
:そうですね。前日に下見に参加することはできます。
川瀬:そうですね。前日に搬入もありだし、場所を設置してもらってもいいかなと思ってます。
そこで足りない部分は当日に持ってきてもらうとか。あとは、8月にも下見があるので、そこで来てもらうことも可能ですよ。
:そのほか、詳細はWEBサイトに記載してあるので、出店者のかたは目を通しておいていただけると。

――なるほど。普段なかなかアートに触れ合う機会がない人でも楽しめそうな場所ですね。今日はみなさん、ありがとうございました!

一同:ありがとうございました!


キタサコクミコ
プロフィール
活動履歴
田中絵里子
ネットワーク・メディア・アーティスト。ネットワークとメディアを使い芸術表現を行なっている。
昨年はダンスとコラボした作品を発表。
メディアアート美術館 K-bit Museum

アートマーケット出展者募集中!